京都大学ウイルス・再生医科学研究所 数理生物学分野
数理生命科学分科

スタッフ

望月 敦史 教授

研究内容

研究テーマ: 我々は、数理科学や計算科学などの理論的手法を用いて、生命現象の解明に取り組んでいます。生命科学における分子レベルの解明は目覚しく進み、その情報量の増加はとどまることを知りません。高次な生命現象の多くが、分子や細胞などの要素が複雑に相互作用しあうネットワークに支配され、そのシステム全体から機能が生まれることが明らかとなってきました。理論的手法を用いることで、複雑なシステムに統合的な理解を与え、システムを支配する単純な法則を導くことができます。また我々は、実験生物学者との共同研究を積極的に進めており、予測検証の繰り返しによって生命現象の解明を進めています。特に近年力を入れている課題は、生命の複雑なネットワークシステムの動態を解明する理論です。我々が開発した数理理論(構造理論)により、生体分子の相互作用のネットワークだけから、様々な動的性質が予測できます。我々の理論と、実験的な計測、操作を組み合わせることで、複雑な生命システムのダイナミクスを解明し、その動作原理に迫ります。


a fig of research 構造理論の結果の一例。大腸菌の中心代謝系の応ネットワーク構造から生まれる摂動応答のモジュラー性。色の意味については下図を参照。

a fig of research 構造理論から決定された大腸菌の中心代謝系の摂動応答パターン。各ボックス下部は摂動を与えた反応酵素を示す。それぞれのボックス上部および下方に伸びる矢印の先にある全てのボックス内の上部に示された化学物質が、与えられた摂動に対して濃度変化する。色は図3に対応。例えば、黄色で塗られた反応の酵素活性を変化させると黄色の分子だけが濃度変化し、赤く塗られた反応酵素に変動を与えると赤と黄色の分子が濃度変化を示す。同様に青の反応への摂動は青の分子の濃度に影響し、緑色の反応に摂動を与えると緑、黄、赤、青の分子が応答する。このように摂動応答はネットワーク上の有限範囲に限局し、かつそれらの間に包含関係が存在する。